写真展『玉糸の記憶 後藤昭男の視点 - よみがえる糸のまち前橋 -』
2022-07-01
「玉糸の記憶 後藤昭男の視点」-よみがえる糸のまち前橋-
会期 : 2022年6月29日(水) 〜 7月3日(日)
13:00〜18:00(最終日のみ10:00〜15:00) 、 7/3第4回安田煉瓦市開催(10:00〜15:00)
会場 : 旧安田銀行担保倉庫(前橋市住吉町2-10-2)
会場問合せ : 090-2522-8079(村上)
*お車でお越しの際は倉庫南側駐車場NO.16-22をご利用ください。
企画監修:吉田敬子
主催 : NPO法人 街・建築・文化再生集団
共催 : 上州文化ラボ https://www.facebook.com/joshuculturelab/
協力 : 後藤由美子・後藤あけみ・荒井泰夫・加藤忠正・本橋隆夫・阿部典之(敬称略・順不同)
初日に行ってきました。
当館は、前橋の製糸調査をライフワークとしています。ここ数年はコロナ禍なこともあり調査は停滞しておりますが。そんな折り、前橋の玉糸製糸の写真展があると知り、とても楽しみにしていました。
先に玉糸について簡単に説明しておきます。玉糸は玉繭や二等繭などを原料にした糸です。これらの繭は等級が低く解れの悪い繭ですが、その糸にはところどころに節が出て独特の味わいがあります。今回の写真展にみる玉糸製糸工場は、元々は国内需要向けに節のない生糸を生産していたのが下火となり、当時の需要に合わせて繰糸部品の一部を改良して節のある玉糸を生産したのだろうと想像されます(←私の考察)。前橋の製糸業の変遷が見られる記録写真です。
この写真展は、写真家の後藤昭男氏(2003年逝去)が、2000年頃に、当時稼動していた前橋の製糸工場を撮影したものだそうです。展示写真は、前橋市内の製糸・織物工場 4工場 ( 丸大製糸、旧荒井製糸、旧本橋絹織、旧城南製糸 ) のものです。
企画監修された吉田敬子さんにお会いできました。吉田さんも写真家で、群馬県のノコギリ屋根の建造物撮影から始まり、前橋の製糸や伊勢崎銘仙など繊維産業に強い関心をお持ちであることを伺いました。
吉田さんは、後藤氏が残した製糸工場の写真の存在を知ったとき、当時を知る人も少なくなったいま、この貴重な記録写真を見てもらいたいと思ったのだそうです。
会場には、写真の他に前橋市内にあった製糸工場の場所を示した地図が張り出されています。製糸の記憶をお持ちの方が地図を見ながら吉田さんと熱心に語り合っていました。ここから新たな情報が加えられて行くと素敵ですね。それから、丸大製糸さんが工場解体前に場内を撮影したホームビデオが残されており、今回この映像が提供されています。
他にも、玉糸製糸工場で使用されていた座繰用の陶器製繰糸鍋が展示されており、私はこの形状の繰糸鍋を見るのは初めてでした。珍しい品だと思います。
玉糸の接緒箒と鼓車、生糸の実物展示が拝見できたのも個人的にたいへん幸せでした。後藤昭男氏のこの写真集がもし出版されるなら欲しいです。
展示最終日の 7/3 ㈰ は、物産市『安田煉瓦市』もあります。出店販売の他にイベントやワークショップももりだくさんです。子ロバも来るんですって。
「県都前橋 生糸の市(けんとまえばし いとのまち)」の貴重な記録写真が観られる機会です。ぜひいろんな方にご覧いただきたいです。